興味があったのは人間。だから、今は脚本家も向いていたのかなと思う。
―大河ドラマ「篤姫」「江~姫たちの戦国」等の脚本家として大活躍されている田渕先生ですが、学生時代から脚本家になりたいという想いはありましたか。
全くないですね。その頃は、先が何も見えなくて、自分が将来何をするのかもわからず、自分自身に厳しい性格でしたので、もうガチガチで、自由がなくて、すごく生きづらくて、ああ死ぬまで後何十年かなと、そんなことを考えているような夢のない学生でした。
小さい頃から文章を書くととてもほめられたのですが、これを仕事にだけはすまいと思っていました。その頃興味があったのは、人間。人間ってどういう時にどういう風に考えるんだろうかというようなことを、朝から晩まで考えていました。
ひょんなきっかけで脚本家になりましたが、考えてみると、脚本家というのは、人間を書いて、しかも、様々な人に動いてもらってひとつのドラマを作る、そうして人間を表現する仕事。だから、今はすごく向いていたんじゃないかと思います。
―「自分が何に向いているかがわからない」と悩んでいる学生がたくさんいるのですが。
わからないものだと思いますよ。世の中は進化しているので、今までの職業に合わせて、自分は何をやっていこうかという発想をすると、みつけられないと思います。ですから、自分は何が好きか、どんなことに関わりたいかという漠然としたころからスタートした方がいいと思う。そうしないで、「この職業、あの職業、それがみつからない自分はダメだ」と思うのはすごくナンセンスな話。まず、何に興味があるか、何をやってみたいかと、自分との対話をきっちりして欲しい。もしかしたら、これからできる職業もあるかもしれないので、今ある職業だけでは、みなさんにあてはまらないかもしれない。
今は脚本家と称していますが、一作毎に私は成長するので、成長した私が次に何をしようと思うのかはわからない。これまでにも、私はいろんなことをしてきましたし、未だに、将来何をしようかなと考えているくらいですから、みなさんが今、「これで生きていくんだ」なんて決めつけるのは、この21世紀という時代には合わないと思う。それは20世紀的な考え方。